さまざまなアーティストを迎えるAfternoon Tea TEAROOMのインタビュー企画。今回は料理人であり、イラストレーターのトラネコボンボンさんが7種類のパンを監修してくださいました。季節を感じる食材と目にするだけで楽しい彩り。ベイカリー開発担当とともに、そのこだわりを語り合います。

Afternoon Tea TEAROOM(以下、Afternoon Tea):今回は春〜初夏に販売するパンのアイデアをなんと7種類もご協力頂きました。どれも華やかでお花見や春の行楽シーズンにぴったりです。トラネコボンボンさんが特に思い入れのあるパンはありますか?

トラネコボンボンさん(以下、中西さん):どのパンも私が「こんなパン食べたい、こんなパンが好き」と思ったものばかりです。最初は絵に描いて、説明しながら提案したんですよね。

開発 戸枝(以下、戸枝):そうです。次にチームでも検討して、パンを焼く開発担当者と相談しました。頂いたイラストが素敵すぎて嬉しくて感動したので、プレゼンにもそのまま使わせていただきました。

中西さん:本当ですか?嬉しい。この絵が尋常じゃない下手さで申し訳なくて笑いながら送ったんです。

戸枝:ええっ(笑)!色彩が素晴らしくて、これをどう実現するかと開発担当者も張り切っていました。

中西さん:ありがたいです。販売するとなると、パンを作る時間も限られますので、たくさんの方に召しあがっていただけるように、作り方や材料の確保など、ひとつひとつをクリアしながら、何を作るのか決めていくのですが、ベイカリーチームの皆さんとのミーティングが楽しくてそれが一番印象に残っています。ベイカリーに関わる人達は、お客様に喜んでもらいたいし、価格もお求めやすくしたいし、美味しく食べてもらいながら季節も楽しんでもらいたい。そんな風に愛情がいっぱいで、あらためて食べ物を作る仕事って素晴らしいなと思いました。

戸枝:私達もトラネコボンボンさんのイメージに近づけられるように、いろんな形でチャレンジする時間がとても楽しかったです。

中西さん:テーブルロール的な食事パンを、というリクエストに選んだのは「ほうれん草じゃがチーズ」。我が家の定番、じゃがいも入りの生地をひとつ焼いてもらうことにしました。じゃがいも入りの生地は、いつものパン生地よりもちもちします。冬から春先まではそこにほうれん草を練り込むのが好きです。トーストして噛んだ、口に含んだ時に広がるほうれん草の青臭い香りが美味しいのです。今回はより香ばしく、表面にパルメザンチーズをまぶして焼き上げてもらいました。焼き立てはもちろんそのままで美味しいですが、翌日以降はトーストがおすすめ。半分に割ったら中にチーズが入っています。そこにマーシュとかルッコラ、葉野菜のサラダを詰め込んで食べるのも美味しいです。

Afternoon Tea:やってみます!
「春のねじまきパン」は見た目からも季節を感じますね。

中西さん:今回は春、お花見がテーマだったので、少し和風の抹茶生地と餡の層、桜の色にフランボワーズ生地を重ねました。餡の甘さだけではなく、フランボワーズのコンフィチュールも隠し味に焼き込んでいます。それと桜の季節の手土産になるようなおやつパンを!と思い桜あんぱんを提案しました。個人的に桜の葉の塩漬けの香りが好きで、その香りがする桜あんとクリームチーズ、そして桜の花の塩漬けを加えています。

戸枝:甘いだけではなく、少し塩気があるのがいいですね。
「春のいろどりグラタンピッツア」には、カブ、カリフラワー、ロマネスコ、グリンピース、ベーコン、ディル。そしてチーズは2種類と贅沢な仕上がりです。

中西さん:お客様が一人でパンを買いに来て、昼食に何か食べたいものを探すところを想像しました。パンひとつで春の野菜が色々食べられたら嬉しいだろうなと思いました。このパンに温かいスープ、そして居心地のいい椅子があれば昼食は完璧です。 「木苺ロール」は春らしいピンクのパン。可愛らしいおやつタイムにぜひ食べて欲しいです。

戸枝:「キャベツとパンチェッタのカルツォーネ」にはキャベツがたっぷり。春になると野菜が食べたくなるので、この季節にぴったりなパンだなと思いました。

中西さん:本当に。春はなぜか野菜を食べたくなりますよね。ベシャメルとキャベツ、パンチェッタ、粒マスタードをピザ生地に包んでカルツォーネに仕上げました。ふかふかの春キャベツをたっぷり挟んだホットサンドや、春キャベツのピッツアが大好きなんです。

Afternoon Tea:とても美味しそうです。春の食材だと他にはどんなものがお好きですか?

中西さん:スナップエンドウ、絹さや、うど、菜の花、つくし。蓬とか蕗とか蕨とか苦いものも大好き。蓬は蓬ごはんにします。他には春キャベツのコールスロー、摘みたての若いグリンピースをバターで炒めて塩をしただけのもの。好きなものをあげるとキリがないですね。この時に食べる葉野菜のサラダが一年のうちで一番美味しく感じて力が湧くような気がします。理由はわからないんですけれどね、春の体に必要なものが詰まっているんじゃないかな。

戸枝:今回はイラストからも説明の文章からもパンや旬の野菜に対する愛情がたっぷり伝わってきました。

中西さん:私もすごく楽しかったです。私たちの仕事はある意味、夢を売っているようなものなので、まず自分が一番楽しもうと思って仕事をしています。関わる人も楽しんで仕事をすれば、より多くのお客様に届くんじゃないかなと思います。「週末のレモンケーキ」は毎日試作されていたと聞きました。

戸枝:そうなんです。頂いたレシピをもとに、お店のスタッフができるだけお客様をお待たせしない時間で美しく仕上げられるように、いろんな形でチャレンジしました。最初トラネコボンボンさんにご提案頂いたのは、レモンアイシングがろうそくのような形だったのですが、それは実現できず残念でした。

中西さん:いえいえ、ご苦労をおかけしてしまいました。戸枝さんがこの週末のレモンケーキに注いだエネルギーとご苦労されたお話は、申し訳ない気持ちと、嬉しい気持ちと、毎日ケーキ焼くなんて可愛らしいなと思って、思い出すと笑ってしまいます。きっとお客様にも伝わるんじゃないでしょうか。

Afternoon Tea:ありがとうございます。トラネコボンボンさんのレシピはいつも幸せな気持ちになれます。お手土産やお出かけの時にもおすすめですね。

中西さん:多くの人にこの気持ちが伝わると嬉しいですね。春のお出かけがてら、ぜひ、お店を訪ねて欲しいです。裏方でもある作り手の頑張りって本当に素晴らしいんです。
最後に、ウィークエンドシトロンはフランスの伝統菓子で、たっぷりのレモンアイシングで仕上げられたバターケーキです。今回は定番のアメリカンマフィンをウィークエンドシトロン風にアレンジして焼いてもらい「週末のレモンケーキ」という名前にしました。 ウィークエンドシトロンは、週末に大切な人と過ごすために焼くお菓子が名前の由来。「週末のレモンケーキ」もぜひ、大切な誰かと召し上がってください。

トラネコボンボンさん監修のパンは
ベイカリーとティールームのパン取り扱い店舗で5/31まで販売中!

トラネコボンボンさんと楽屋裏トーク。春に込めた想いとは。