さまざまなアーティストを迎えて展開するAfternoon Tea TEAROOM のテイクアウトパッケージ。今回は絵本『のうじょうにすむねこ』を2021年に出版されたトラネコボンボン 中西なちおさんが、春の農場をイメージしたイラストを描いてくださいました。
2023年春は、テイクアウトアイテムのほかに、料理人でもあるトラネコボンボンさんに監修して頂いた「お花見アフタヌーンティーセット」とお茶「柑橘ハーブティー 温州みかんのソース」が、ティールームの春限定メニューとして登場しますので、注目です!

Afternoon Tea TEAROOM(以下、Afternoon Tea):トラネコボンボンさんとは以前からさまざまな形でお仕事をさせて頂きました。23年春は料理人&イラストレーターとして、メニュー開発からテイクアウトパッケージまで手がけて頂きました。メニュー開発担当とともに、その裏話を伺わせてください。

トラネコボンボンさん(以下、中西さん):はい。今回は座談会風なのですね。メニュー開発のみなさんとは「お花見アフタヌーンティーセット」でお世話になりました。

「トラネコボンボン監修 お花見アフタヌーンティーセット」

Afternoon Tea TEAROOMメニュー開発担当 横溝(以下、横溝):こちらこそ、ありがとうございます。味も彩りも華やかで、スイーツだけではなく、ブルスケッタなども添えられてスペシャルな仕上がりになりましたね。「お花見アフタヌーンティーセット」はどんな思いで考えて頂いたのでしょうか?

中西さん:お花見は、桜が満開よりも散る頃、木の若葉がちらほらと出てくるのを見るのが好きです。今回、お花見というキーワードを頂いたので、その頃の桜と若葉の色を合わせたような桜色と若草色をテーマにしました。お花見なので、最初に桜ムースを作りました。

横溝:桜のムースは、のちに桜アイスになりましたね。桜アイスとそら豆のムースを合わせる発想も、さすが!と思いました。そら豆を使ったパフェに今までチャレンジしたことがなかったのですが、試作してみるとかなり好評でした。

中西さん:そら豆は独特の緑の香りがします。そこに好き嫌いがあるかなと思ったのですが、春は他の季節よりずっと新芽や野菜の味が美味しく感じる季節だと思うので、ぜひそれを楽しんでほしいと思います。

横溝:ブルスケッタではいろんな具材のアイデアを頂いたので、試作が本当に楽しかったです。

中西さん:自宅でもその日の色やテーマや季節に合わせてブルスケッタを作ります。ちょっとしたおもてなしの時にいいですよね。今回は桜色と若草色がテーマなので、豆やハーブ、緑黄色野菜でいろんな若草色のディップを作り、トッピングにそら豆やグリンピースのマリネ、アスパラ、ハーブ、チーズのほうれん草オイル漬け、桜色要員として生ハムやサーモンを準備しました。

制作チームの皆さんに「好きなように取り合わせて、食べてみて、一番美味しいなあ、好きだなあ!と思うブルスケッタに決めたらどうでしょうか」と提案しました。なので、みなさんと一緒に作った味ですね!

横溝:本当に!全部の具材をのせたかったほどそれぞれの魅力が満載でした。他に考案頂いたラズベリーとライムのタルトの中にはレモンカードも入っていて、爽やかな酸味を感じられますね。

中西さん:どのメニューにも実は小さなこだわりがあります。この春限定なので、ぜひ、食べに来て頂き楽しんでほしいです。

メニュー開発担当 石田(以下、石田):さらに店内メニューでは、以前トラネコボンボンさんに監修して頂いたアールグレイレモンティーにアレンジを加えた「柑橘ハーブティー 温州みかんのソース」も考えて頂きましたね。

「トラネコボンボン監修 柑橘ハーブティー 温州みかんのソース」

中西さん:今、私が暮らしている四国では、春になると柑橘類がたくさん並びます。
八朔、夏みかん、オレンジ、黄金柑、レモン、文旦などは早春からが旬です。特にオレンジの最盛期3月から4月は様々な柑橘が収穫され市場に並び、その風景には毎年心躍ります。ちょうどこの季節のメニューということで、柑橘をたっぷり使いました。

石田:春から初夏には、ご自宅で柑橘類のシロップ漬けやジャムなどを作っていらっしゃるそうですね?

中西さん:そうですね。高知に住んでいるとあちこちの果樹園で収穫された柑橘をいただくので、保存食にしておけば、友人にお送ったり、お茶の時間に使ったりと重宝します。山積みの柑橘を調理をするのはとても贅沢な気分で楽しいです。部屋も指先も柑橘の香りになりますしね。

石田:素敵ですね。「柑橘ハーブティー 温州みかんのソース」では3種類の柑橘をポットに入れ、温州みかんのソースを加えるというアイデアを頂きました。

中西さん:生の柑橘をポットに入れて試飲してみると、柑橘の香りも強く、酸味も結構出ます。なので、ソースは優しい甘さで苦味のない温州みかんがいいと思いました。

石田:このメニューをプレゼンした時、スタッフたちから「美味しい!」の声が続出で。ソースを加えることで、味の変化を楽しめるのも好評でした。

Afternoon Tea:店内メニューのほかにも、今回は素敵なテイクアウトパッケージも手がけてくださって、本当に嬉しく思います。物販アイテムは、絵本「のうじょうにすむねこ」に続く世界観で描いて頂き、大判の一枚絵をそのままパッケージにデザインしてくださっていますが、ご苦労された点はありましたか?

中西さん:今回の絵は大判で種類と枚数も多かったので、1ヶ月くらいはアトリエの中や壁が原画と習作でいっぱいでした。毎日見返して「今日は何の続きから描くんだっけ?」とやや混乱しながら、農場に住む猫と動物の世界に入り込んで描いていました。

Afternoon Tea:春の野花や仲良しの動物も登場して、まるで農場の春のお祝いのようです。

中西さん:私が動物を描く時には、頭の中でその動物が動いたり何かを思ったり、草原や森や草が生えているところを歩いている気分を想像します。だから制作をしている間は農場に通っているようなものでした。毎日、ネズミや穴熊が出てきたり、鳥が鳴いたり、昨日は咲いてなかった花を見つけたりできるので、全然飽きないし楽しかったです。

Afternoon Tea:その豊かな想像力を感じるパッケージは、見ているだけで幸せな気持ちになります。色彩も本当に素敵です。今までお仕事で何度かご一緒させて頂いていますが、もしAfternoon Teaについての思い出などあれば聞いてみたいです。

中西さん:子供の頃から外国のお菓子の箱や缶のデザインに魅了されていました。外国のお菓子の箱を開ける時は、素敵な絵本を開くような気持ちになりました。今でもお菓子の箱には思い入れがあるので、自分の個展に合わせて時々は小さなクッキー箱を製作します。とはいえ一回の個展で制作できる箱は多くても2種類。あんな箱やこんな箱が作りたいなと憧れは尽きません。でもAfternoon Teaさんとのお仕事では、私の描いた絵がたくさんのお菓子の箱に使われます。何種類ものパッケージが出来上がってくるので、とても嬉しくて心躍ります。それは夢が現実になっていく瞬間。新商品の箱が届いた時、誰よりも喜んでいるのはきっと私だと思います。

Afternoon Tea:嬉しいです!私たちにとってもたくさんの発見があるとても楽しい時間でした。これからも、またご一緒させてください。

中西さん:もちろんです。Afternoon Teaさんは季節に合わせて次々にパッケージを生み出していて、すごいなと思います。夢の工場ですよ!本当に楽しいお仕事です。