アフタヌーンティー・ティールームで提供している紅茶は、長年アフタヌーンティーの紅茶の美味しさを守り続けるブレンダーや専門家をパートナーに、季節にあわせた良質な茶葉を世界中の産地より厳選しています。
その中でも世界三大紅茶の地とよばれるダージリンへ、2024年10月にスタッフが訪れました。
ダージリン有数の茶園での茶摘みや製茶、テイスティングの様子など、前編・後編と2回にわたりお届けします。

  1. ダージリンについて
  2. シンブリ茶園
  3. キャッスルトン茶園
  4. ギダパハール茶園
  5. ティンダーリア茶園

ダージリンについて

インド北東部西ベンガル州に位置するダージリンでは、19世紀のイギリス植民地時代に紅茶の栽培が始まりました。
世界最大の紅茶の生産国として知られるインドでも、「ダージリン」を名乗ることができる紅茶は、インド政府紅茶局が認定した87茶園で作られた茶葉のみで、その生産量はインド国内で生産される紅茶のうち、わずか1%しかありません。

ヒマラヤ山脈の麓、標高2,000mを超える山の斜面に広がるダージリンの茶畑は、朝夕の寒暖差が大きく濃い霧が発生し、特有のマスカットに似たマスカテルフレーバーが生まれることで、ダージリンティーは「紅茶のシャンパン」とも称されています。
また、茶畑のある険しい山の斜面は、大きな車両が入ることが難しく、機械を使わず手作業で剪定や茶摘みを行っているため、人の手がとても重要な役割を果たしており、生産量も少なく希少です。

春摘みの「ファーストフラッシュ」、夏摘みの「セカンドフラッシュ」、秋摘みの「オータムナル」と、旬の収穫時期は年に3回で、それぞれ味に特徴があり、茶園ごとに製法も異なり、1年を通して紅茶ファンを魅了しています。

前編では、今回訪れた4茶園をご紹介します。

シンブリ茶園

茶園が広がるダージリンエリアの中心、ミリクバレーに位置するシンブリ茶園。
うっすらと霧に覆われ、しんと静まり返った山には、鳥の鳴き声が響き渡ります。

こちらでは、ゲストハウスに招かれ、歓迎の儀として首飾りをかけていただき、家庭料理でのおもてなしを受けました。ネパールやチベットの国境も近いダージリンは、多様な文化をもつ人々が共存していて、食文化も様々です。

野菜や豆を中心とした家庭料理

テイスティングルームでは、紅茶の最高品種「AV-2」を作ることで知られているティングリンという名の茶畑で作られたクローナル種のオータムナルをテイスティング。

新芽の産毛(ゴールデンチップ)が多く、ダージリン特有の爽やかな青みのある味わいで、同じ茶園でも味の違いがそれぞれ出ており、紅茶の奥深さを感じます。

シンブリ(Singbulli)

創業は1860年代、工場の設立は1924年。
標高は300~1,200mに分布し、紅茶、緑茶、クローナル種(※)を使用したスペシャルティーを製造しています。
茶園は4区画に分かれ、すべてがオーガニックで運営されています。

  • 特に風味が優れている品種などを選んで、その枝を土中に挿す「挿し木」で栽培して増やし、クローンのように繁殖させた茶木のこと。

TOPICS!

北東部にあるダージリンタウンから南東部へ向かう途中、世界遺産でもあるヒマラヤ鉄道の蒸気機関車トイ・トレインに遭遇!

急勾配が続くダージリンは、細い曲がりくねった山道が続いており、物資を都市部へ運び出すのも困難です。

キャッスルトン茶園

ダージリンエリアの南、クルセオン地区に位置するキャッスルトン茶園。
「TOP OF THE WORLD」と掲げている看板にもあるように、世界でも広くその名が知られており、日本においてもファンが多い茶園のひとつです。
工場では製茶の過程を丁寧に説明していただき、その管理の徹底ぶりはさすがの細やかさ。

テイスティングルームでは、香りのよいマスカテルフレーバーのオータムナルを飲み比べ。秋摘みのオータムナルは、夏摘みの力強い味わいのセカンドフラッシュに比べ、やわらかい印象。

Castleton(キャッスルトン)

標高約980~2,300mに位置。
1865年にチャールズ・グラハム博士によって茶木が植えられ、主に中国交配種を栽培。セカンドフラッシュのマスカテルフレーバーが有名。
かつてこの土地にあった円形の建物が城のような形状であったため、この名称となった。

ギダパハール茶園

ダージリンエリアの南、クルセオン地区に位置する茶園、ギダパハール。
こちらでは、工場内で製茶の様子を見学。各セクション、人の手によってしっかりと目を離すことなく管理されていました。

マネージャーハウスでは、熟練したプラッカーが4人で1日に4㎏しか摘めない貴重な茶葉を使用したクローナル種のスペシャルティーを、パニール(カッテージチーズ)を揚げたものや素焼きのナッツと一緒に。ダージリンの人々は、紅茶とナッツをペアリングすることが多いそうです。

ギダパハール(Giddhapahar)

創業は1880年代。比較的標高の高い茶園で、標高約1,400mに位置する家族経営の小さな茶園。
主にチャイナ種の茶樹が植えられ、茶園名は「giddha ハゲタカ」「pahar 丘」より由来。比較的気温が低く、霧に覆われる良好な栽培環境。

ティンダーリア茶園

農薬を使わないオーガニック農法にこだわるティンダーリア茶園は、2020年7月にフェアトレード認証を取得。フェアトレードにおける支払われたプレミアについては従業員宅の家具の購入に充てられているなど、茶園での雇用を通して人々の生活を支えているようです。
また、従業員だけでなく自然と環境の持続可能性への取り組みを積極的に実施しており、土壌改善や排水路の更新などを行っています。
到着した時はちょうど茶摘みが終わった時間で、人々が一斉に工場へ戻り、茶葉の計量が行われていました。

訪れた茶園の中でも特に道が険しく、茶畑と工場を行き来するだけでも息が切れそうな急勾配の山道でも、人々のいきいきとした表情が印象的でした。

ティンダーリア(Tindharia)

創業は1860年代。比較的低地に位置し、標高約400~1,000mに分布。
茶園の名は「3つの渓流が合流する地」を意味する。
品種はチャイナ種、アッサム種、クローナル種。現在クローナル種への改植が進められている。紅茶、緑茶、白茶を生産し、一部スペシャルティーも生産。特に緑茶が有名で、ヨーロッパ、アメリカでの評価が高い。


どの茶園でも、人の手によって丁寧に茶葉が摘まれ、機械に頼り切らず、セクションごとに人の目によって厳しく管理されているのが印象的でした。
自然豊かで険しい山で育てられるダージリンの紅茶は、人の手なくしては生まれない自然の産物です。
ダージリンティーが「紅茶のシャンパン」と称されるように、茶園ごとに「紅茶がワインのように個性をもつ」ことを、身をもって体験することができました。

後編では、2025/8/28に発売するグームティー茶園のダージリンについて、茶園での茶摘みや製茶、テイスティングの様子をお届けします。(2025/8/20公開予定)


2025/8/28発売

「ティーフォーピースブレンド グームティーオータムナル」

2024年秋、インド・ダージリンを訪れて選んだグームティー茶園のオータムナル ダージリンをお届けします。

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#アフタヌーンティーお茶時間