2020年の1月より順次展開しているテイクアウト商品のパッケージを描いてくださったイラストレーター・利光春華さんに今回のコラボレーションについてお話を伺いました。

Afternoon Tea TEAROOM(以下、AT):今日は利光さんにいろいろとお話を伺いたいと思います。お越しくださりありがとうございます。

利光春華さん(以下、利光さん):こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。(お出しした紅茶を飲まれて)この紅茶、すごく美味しいっ!

AT:さて、早速ですが、2020年の1月から順次登場する商品パッケージを大きくわけて2種類描いてくださりましたが、何かイラストのコンセプトやイメージになるものはあったのでしょうか?

写真上:1/30~のテイクアウト商品
写真下:2/27~のテイクアウト商品

利光さん:前回のコラボもそうだったのですが、自由に描かせていただきました。第1弾の苺とうさぎのパターンの方は、紅茶や焼き菓子の味やテーマに苺があったので「苺」というモチーフはあったのですが、こちらはグラフィック要素を入れたいなという思いがありました。(一昨年のコラボレーションの印象とは異なるものにしたくて)そこで、ジャムやお菓子のパッケージに合いそうな赤のチェックと、白うさぎが春を連れてきてくれるといいなというイメージを組み合わせて描いていきました。
最初は苺のアーチを白うさぎがくぐっているようなイメージもありました。

AT:作っていただいたものの中で、特にお気に入り!おすすめ!なアイテムはどちらになりますか?

利光さん:紅茶缶です!(ストロベリーローズ)これが最初にできたデザインですね。立体になった最終形態として一番にできました。

ストロベリーローズ

AT:二次元のイラストの視点だけでなく、立体的にイラストが展開されるところまで最初からできあがっていたのですね!

利光さん:そうですねぇ。そもそも商品単体だけでなく、それが店頭に並んでいるところも制作段階で想像しながら作っています。1つの見え方だけでなく複数個での見え方や、シリーズが一緒に並んだところなど。

AT:それって、利光さんならではの特技なのではないでしょうか?2次元のイラストを描きながら三次元的な想像ができるという。

利光さん:確かに、私は空間が好きなんです。とにかく気持ちのいい空間が好きで。飾ってあるものも重要なのですが、その位置とかが気になって。
イラストをいろんな商品に展開していく中で、すべての商品が並んだときにすべてがチェック柄になってしまうより、ちょっとアクセントになるような要素が欲しいなと思って、「マシュマロストロベリーチョコレート」のパッケージは、メインで見える面のベースを色面にしようと思いました。

マシュマロストロベリーチョコレート

AT:やっぱりすごいです!その視点!

利光さん:どの商品を手に取っても飽きさせないようにしたい、ということは心がけています。全部並べた時にもかわいい!って、お客様に思っていただけるようにしたくて。


利光さん:第2弾のデザインもほとんど同時に考えて描かせていただいたのですが、最初から冬が明けて春の草原に小動物たちが集まってくるようなイメージが浮かんでいました。

スプリングバスケット

こちらも丸い紅茶缶のデザイン(桜グリーンティー&ルイボス、ピーチアールグレイ、岡山県産ブレンドティー)ができていました。紅茶が飲み終わっても、缶だけが雑貨的に手元に残りますから、缶だけを利用していただくときに、飾ったり持っていたりして嬉しくなるといいなぁと思いながら展開図を描きおこしました。
第1弾の紅茶缶も買っていただいた方にはシリーズのように見えたらいいなとも思いながら。缶の形がスタッキングできる仕様だったので、重ねた時にもきれいに見えたり、思わず揃えたくなるような楽しみも想像してデザインしました。

写真左から:桜グリーンティー&ルイボス、岡山県産ブレンドティー、ピーチアールグレイ

AT:そんな想いでデザインをしてくださって、私たちも非常に感激です。実際に缶などのケースを二次利用するときのことも考えてくださっていて。

利光さん:ミニボトルも、持っていた時に買ってくださった方がウキウキするのかな?持っていて嬉しくなるのかな?みたいな気持ちを想像しながらデザインを考えました。


AT:話は変わるのですが、普段の生活の中で、何かイメージソースになるような素材を集めたり、心がけていたりすることはあるのでしょうか?

利光さん:なるべく自然物を描きたいなと思っています。擬人化されていないものを見るように心がけています。

AT:そうなのですね。出版されている絵本の『Ribbon』を拝見した時から感じていることなのですが、利光さんなりの“自然観のイメージ”といいますか、独特の空間のようなものを感じています。利光さんにしか見えていない”自然の景色“を見せてもらったという。

利光さん:小学校の時に担任の先生が図書館で毎月何冊か絵本を読んでくれる機会があって、タイトルは忘れてしまったんですけれど鳥が出てくる絵本があって。それを読んでくれた時に先生が「私、鳥の目線になって空を飛んでみるのが夢なんだよね!」と言っていたのがずっと今でも残っていて。その時、自分が鳥になることとか、空を飛ぶこととか想像もしていなくて、自分の中で衝撃的だったのです。
それ以来、自分の見えている世界を別の視点(目線)で見たらどう見えるんだろう?って想像するのがとても楽しくなりました。イームズ夫妻の『Powers of Ten(※)』のような世界観がすごく好きです。宇宙観というか、空間の行き来みたいなものが好きですね。そういったものを描いていきたいなと思っています。
アニメーションや映像に憧れたり、学んだりすることも多くて。特に、画面の奥行きを出す手法は、これはイラストでもいけるな!と思って普段のお仕事でも意識するようにしています。

AT:人生を変えるほどの先生や言葉と小学生の時に出会ったとは、本当に素敵なエピソードです!

利光さん:本当に。いまでも、時々その言葉をふっと思い出します。

AT:今日は素敵なエピソードをたくさんお聞きできてうれしいです。ありがとうございました。

利光さん:みなさんに気に入っていただけると嬉しいです。ありがとうございました。

全ラインナップや展開店舗は、季節のテイクアウトページでご紹介しています。あわせてご覧ください。

利光春華さんのデザインの壁紙をダウンロードしてお楽しみいただけます。

  • 『Powers of Ten』 は、イームズチェアで有名なチャールズ&レイ・イームズ夫妻が1968年に制作した短編映画 。10の0乗の距離からシカゴの芝生で寝そべる男女を俯瞰した画像から始まり、カメラが上空、太陽系、銀河まで上昇。その後急速に下降し、最後は寝転がる男の体内細胞に入っていく(戻っていく)プロセスが描かれている。