2010.01.21

読んで、聴いて、くぅっとなる

手作りの雑貨的なリトルプレスから商業出版まで、カフェや雑貨、デザイン、暮らしまわりの本や雑誌の、編集と執筆を中心に活動。近刊として、旅のささやかで美しい瞬間を写真と文章で切り取った小さな本『Beautiful Moments』を自身の出版レーベルBOOKLUCK PUBLISHING roomよりリリース。 www.bookluck.jp


46:ジャムとパンと本に翻弄される。

なにしろ、朝ごはんが楽しみで
どっこい生きてるといっても過言ではない僕。
とりわけコーヒーを(淹れるのも飲むのも)
好きになった10年ほど前からは、
「コーヒーをドリップして淹れて飲む」という
行為をしたいがばかりに
朝起きるのが苦でなくなった。
さらに当時は毎朝コンビニに出向き、
あんパンとか、クリームパンとか、デニッシュとか、
あまーい菓子パンをコーヒーのおともにし、
至福のひとときを味わっていた。

そして今。時はゆーらゆーらと流れ。
あまりにも濃いコーヒーは胃に負担をかけることが
発覚してから、飲む機会がめっきり減り(無念!)
その代わり、僕の前に朝起きの
モチベーションとなる存在が現れた。
それはジャム。
今は朝起きるやいなや、買い置き→冷凍している
パンをソッコーでオーブンに放り込み、
その日の気分に合わせていろいろな種類を
食べ比べるというのが、もっか朝の定番となってきた。
(もちろんおともは紅茶。返す返すも無念!)

こうなったそもそものきっかけは、知人より
「ベルナデッテ・デ・ラベルネッテ」
なる、レロレロと舌を噛みそうな名を冠した
マダガスカル産のコンフィチュールを
なんと20種類も!試食用として、
どっさりといただいた時から。
これが、ホントーに衝撃的!で
それまでのジャム概念を覆されるほどのおいしさで
それから、すっかりジャムのとりこになった。

その舌の根も乾かぬうちに奇しくも
ジャムで作るお菓子の本の編集を受け持つこととなり、
僕のジャム熱はさらにヒートアップアップ(溺れとるがな)。
マイ・冷蔵庫の2段目は、
すっかりジャム専用棚となってしまった。

そんなジャムとともに、
「ジャムに合うパン」もまた探し求めるようになり、
やがて「パン」そのものに興味を抱き始めた。

なんとなく気付いてはいたが、
パンの世界というのは、一度足を踏み入れると、ヤバい。
どっぷりとハマりかねない
ものすごーく深い世界が広がっていた。
おもしろい。おもしろすぎるーーー!

そんな折、知人にすすめられて読んだのが
「ブランジュリタケウチ どこにもないパンの考え方」。
大阪ではみんな知ってる、行列ができるパン屋さんの
オーナーシェフである竹内久典さんによる、
パン作りと店作りの哲学に迫った一冊だ。

僕はそもそも「作る人」ではない。
ゆえに「作り方」を読んだだけで、
いろんなことが理解できるような
「レシピ脳」が、あまり発達していない。
でも、この本に書かれていることは、
本当にするすると、気持ちよく理解できる。
感覚の論理化というか、
おいしい、とか、気持ちいいとか、うれしい、とか
そういう人間の情緒的な部分を、
ゆさぶる方法をとことん、確信的に研究している。
それは、自分の本作りにおけるやり方と、
実はものすごく似ていることに気付いた。
勝手に、いっぱい共感した。

そんなこんなで、先述したように
僕の貧困なレシピ脳にうーんと悩まされながら
ディレクションをしたジャムを使ったお菓子のレシピ本
「JAM SWEETS BOOK」が先月、発売された。
ここには、確かに自分なりの
「どこにもない本の考え方」が詰まっている。
けれどちなみに、今のところ、
本屋に行列ができるほどには至っていない(シーン)。






読んで、聴いて、くぅっとなる(山村光春)

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