2009.04.03


うみ、まち、まいにち


作家。kokua factory代表
著書に『できることからはじめています』(文藝春秋)、
『まいにちできること』(PHP)
5月22・23日パタゴニアのオーガニックマーケットに
kokua factoryとして参加
当日、無農薬の野菜がたくさんならびます
y-hirose.com

第3話 にぎやかな春としずかな春



UMI

朝、あけていた窓から、ウグイスの声が聞こえてきた。
ちかくにある竹林から。
おなじ日、川原に下りたら、つくしを見つけた。
そばには、ちいさな、むらさき色のスミレ。
すこし、はなれた場所では、ネコヤナギがふっくらした花をつけていた。
田んぼに行ったら孵ったばかりのオタマジャクシ。
れんげの花が、かわいい花をつけている。
畑には、菜の花、えんどう豆の花。

海辺の町では、春、植物や生き物がむくむくと動き出す。
ぐんぐん成長しているのが、わかる。
「春がきた」というのが、まわりの生き物たちからつたわってくる。
にぎやかな春。
自分から春を見つけに行かなくても、春がきてくれる。

UMI



MACHI

八百屋さんやスーパーマーケットの店先に春の野菜、くだものがならぶ。
目にすると「もうすぐ春」と思う。
そう思った日、ジンチョウゲのかおりに気づいたり
ともだちから、コブシの花をわけてもらったりする。
わたしのなかで、春野菜の代表は、空豆。
空豆がたくさんならぶと「春がきた」と思う。
しばらくすると、さくらが咲きはじめる。

町なかでも気をつけていれば、春は見つかる。
ちいさな植えこみ、公園のかたすみ、ご近所の庭、店先、
そして、ともだちからのお裾分け。
自分からさがすと、春はすぐ見つかる。
でも、大きな町の春は、すこしだけ、遠慮がちにやってくる。

MACHI












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